【完】こちら王宮学園ロイヤル部



「あらあら、椛くん。

ふふ、今日もすっかりイケメンじゃない」



「ふは、ありがとうございます」



買い出しに連れてくるのはルノだったり莉央だったり、ほんっとに極稀だけど夕さんが一緒に来ることもある。

毎日のように来るからこうやってパートをしてる主婦さんにも顔は覚えられてるし、仲良く話しかけてもらえる。



「あら?

美人さんも一緒だと思ったら、南々瀬ちゃんだったのね」



「ふふ、こんにちは」



「ふたりとも知り合いだったのね〜。

南々瀬ちゃん、昨日は夕方に彼氏さんと来てたでしょう?」



のんびり会話してるように見えるけど、手元はがっつり作業中。

いつものことながら器用な人だなと思っていれば唐突に出た彼氏の一言。おひめさまを見れば、「彼氏じゃないです」と否定していた。




「あらあら。付き合ってないの?

大和くんもここの常連さんだけど、南々瀬ちゃんと一緒に来ること多いからそうだと思ってたわ。……っと、6023円です」



王様から昼食代とか、その他諸々の買い出しのために渡されているカードで支払いを済ませて。

「また来てね〜」とにっこり見送ってくれるパートさんに軽く会釈してレジの前を抜ける。



「スーパーに一緒に買い物に来る、ねえ。

……高校生の男女が頻繁にスーパーで買い物してんのも珍しいだろうけど、まじで付き合ってねえのそれ」



「正確には大和の妹も一緒。

家族ぐるみで仲良しなだけだから普通でしょ」



「……な〜んか、特殊だねえ」



明らかに、ほかの相手とは築かないだろう距離感。

仲が良いのは確かにそうだけど、そこまでいって恋人じゃないのも不自然なもので。



「元々付き合ってた?

……それか、どっちかが好きだけど付き合ってない?」



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