【完】こちら王宮学園ロイヤル部
彼女の肩が、あからさまにぴくりと揺れる。
今日は踏み込んで恋愛面のこと聞き過ぎてんな、と自覚はあるけれど。こういう反応されちゃったら、逆に引き下がれないよねえ。
「元カレ?」
「……違う。
元々好きだっただけ。今はもう、本当に好きとかないから。端から見れば、友だち以上かもしれないけど」
それより、とカゴの中に入った食材を袋に詰めながら、視線を合わせずに口を開く。
詰め終えた袋を莉央に手渡せば、何も言わずに受け取った。
「大和の名字って、木崎でしょう?
……彼はロイヤル部には引き入れなかったの?」
「ああ、」
キザキ、じゃなくて、キサキ、って読むんだっけか。
確かにロイヤル部にいてもおかしくなさそうな名字だけど。っていうか実際、役員を決める時には候補にいたはずだけど。
「普通科の生徒だからねえ」
「成績が良くないとだめって言ってたものね。
ふふ、姫じゃなくて妃でもよかったんじゃない?」
「……女ならまだしも、
男で「妃」は言われる方も可哀想でしょうに」
「……まあ、それはそうだけど」
かさ、と袋が音を立てる。
意図したわけではなく自然とお互いに黙ったせいで会話が終わり、「さて」と彼女の手から袋を預かった。
「莉央。姫を『ジュリエット』まで案内して。
そっちの袋、昼飯にはあんまり関係ねえものとかだし、俺先にこっちだけ持って帰って昼飯作るから」
「は?」