【完】こちら王宮学園ロイヤル部
・特別だということ
◆
「南々瀬、お昼たべよーっ」
「はいはい。大和は?一緒に食べる?」
「んー、俺はそこらの男連中と食うから。
週に1回なんだし、たまにはみさとに構ってやれよ」
な?と、顔をのぞきこんでくる大和。
そうねと頷いて教室を出ると、ふたりで向かったのは「バラ園」と呼ばれている建物の中。言葉通りたくさんバラが咲く場所で、天井と壁が透明になっている。
食べ物を食べる場所、としては結び付きにくいかもしれないけれど、植物園の大きなビニールハウスみたいな感じだ。
席がたくさんあるし、ここで昼食をとる女の子は多い。
──転校して、早2週間。
女の子からの悪口が未だに耐えないけれど、案外普通にくらしている。
授業にはある程度出るけれど、ロイヤル部のメンバーにちょこちょこ仕事を教えてもらっているから、それの手伝いをしたり。
当然のことながら、断然最初よりも仲良くなったから、C棟にいる時間は楽しい。
朝は大和とみさとと学校に行って。
放課後はひとりで帰ったり、大和と帰ったり。
2週間過ごしていたら、いろいろなものが見えてきたりするけれど。
ひとまず今は、1週間ぶりのみさととの昼食だ。
C棟で椛に昼食を作ってもらうのも美味しいし好きなんだけど、みさととも食べたい。
……というわたしのわがままで、1週間に一度はC棟を出て食べることになった。
今日のお昼は、早起きして作ったお弁当。
「分けて」とおねだりしてくるみさとのお弁当からも、おかずを分けてもらいながら。
「最近楽しそうだね、南々瀬」
「……え?そう?」
「うん、毎朝一緒に学校来るけど、
ここ最近はずっと楽しそうな顔してる」