【完】こちら王宮学園ロイヤル部
みさとがそう言うんだったら、そうなんだろう。
昔から。当たり前のように、お互いのことを見てきたから。誰に言われなくても、みさととは信頼し合ってる。
「南々瀬、べつに遠慮しなくてもいいんだよ?」
「……何、が?」
「大和のこと」
ぱくり、と。
卵焼きを口に運んだタイミングで、そう言われて。もぐもぐと咀嚼しながらその言葉の意味を考える。……考えるまでもないけれど。
「……遠慮なんかしてないわよ。
確かに好きだったけど、今は本当になんとも思ってないから」
みさとと大和がくっついてくれればいいな、と純粋に思ってる。
そりゃあ、仲良しのふたりが付き合うことになったら、遠慮とかしちゃうだろうけど。応援したい気持ちに、嘘はない。
「……ほんとに?」
「ほんとに。だから応援してる」
うまくいけばいいわね、と。
彼女のやわらかい髪を撫でてあげれば、みさとは伏し目がちにお弁当箱を見つめて。お箸を置いたかと思うと、わたしをじっと見つめた。
「……ひとつ聞いてもいい?」
「うん、いいわよ?」
「あの日……渡米、する日。
空港で、大和に告白されたんじゃないの?」
お箸で摘もうとしたプチトマトが、つるっと滑る。
もういっかい挟もうとするけれど上手く乗ってくれなくて、仕方なく手で取って口に運んだ。