【完】こちら王宮学園ロイヤル部
「……告白、は、されたけど。
付き合おうって言われたわけじゃないから」
「その時は好きだったでしょ?」
「……そうね」
好きだったのは本当。
それ以前に大和は、わたしが大和のことを好きだって知っていた。それはわたしも同じで、大和に好かれていることは知っていた。
中学の頃、いろんな意味で目立って浮いていたみさとは、ずっと孤立していて。
わたしが声をかけてようやく、今のように明るい姿を見せてくれるようになったから。
みさとを一人にするようなことは、したくなかった。
たとえ普段仲良く一緒にいたとしたって、付き合ってしまえば必然的に距離が出来てしまう。それが嫌で、わたしも大和も、お互いに黙っていた。
わたしにとっては、大和と付き合うことよりも、みさとをひとりにしないことの方が大事だったから。
「……あのね、南々瀬。
もし大和のこと、また好きになったら。その時はもう、遠慮しちゃだめだよ」
「……ならないわよ、きっと」
「わかんないよ?
でも、わたしも王学に入って今は楽しいし。南々瀬と大和がいなきゃ一人になる、ってことももうないから」
「……うん」
「責任とかそういうの、ナシだよ。
なんのための親友か、わかんないでしょ?」
南々瀬のことだいすきだよ、って。
みさとがこうやって面と向かって、惜しむことなくそう言ってくれるから。
だからわたしも、同じ言葉をみさとに返すことができる。
……甘えきっているのは、わたしの方だ。