【完】こちら王宮学園ロイヤル部
「わたし、数日ここに来ませんから」
「いや、姫が来ねえとさみしいじゃねえの」
「カードを取ったってことは、何かしらの目的があるんですよね。
ここに忍び込むためか、わたしに嫌がらせするためか。おそらく前者ではないので、セキュリティレベルはいつも通りで大丈夫だと思います」
みんなが眠る頃はさすがに不安だから、そのときはセキュリティレベルを上げてもらったほうがいいかもしれないけど。
おそらく掏った犯人は、ここに来ることはない。直接自分たちが掏ったことを、彼らに知られては困るから。
「嫌がらせするためなら、絶対向こうからわたしに近づいてきます。
わたしがここに入れないなら、なおさらそのタイミングで。おそらく……放課後に」
カードを取るという直接的な行動に出たってことは、わたしがひとりのタイミングがあれば、間違いなく直接的に近づいてくる。
手の込んだことをするよりも、圧倒的にそっちのほうが早い。
そして何より、直接顔を合わせたほうが、効果はある。
嫌がらせの手紙が来るよりも直接言われた方が、ターゲットが従いやすい。……まあ、直接でも従う気はないけど。
「……放課後?」
「わたしは普段向こうで過ごす時、
朝の登校も昼休みもみさとと一緒にいますから」
「放課後は……部活があるのね、その子」
「はい。明日は普通に1日授業を受けて、大和と帰ります。
そのとき女の子たちにつけられてるはずなので、「明日一緒に帰れない」と大和に言っておけば、」
「間違いなく南々瀬ちゃんがひとりになるタイミングを知ってる女の子たちが動く、ってことね。
向こうが動くタイミングがわかるなら、こっちも助かるし」
それでいいんじゃない?と、夕帆先輩がいつみ先輩を見る。
それに、「ああ」と答えたいつみ先輩は。
「無理するなよ」と、困ったように微笑んだ。