【完】こちら王宮学園ロイヤル部
◆ Side莉央
ガチャッと、リビングの扉を開く。
いつもはあのオネエと椛がいるから騒がしいリビングも、今は静かだった。……まあ、ルノしかいねーからだろうけど。
「ほかのヤツらは?」
髪から落ちてくる水滴が鬱陶しくて、首にかけたタオルでゴシゴシと拭う。
紅茶淹れましょうか?と言われたけど、ミネラルウォーターでいいと断った。
「いつみ先輩は自室で仕事するから、今日はもう下りてこないらしいですよ。
夕さんはあとで戻ってくるって、莉央さんが部屋にもどったあとにお風呂に行きました」
「あのオネエ、
風呂クソ長ぇから戻ってこねーだろ」
「夕さんに怒られますよ」
くすくすとルノは笑ってるけど、マジで風呂長いんだよあのオネエ。
風呂が個人の部屋についてなかったら、絶対渋滞起こすわ。変なところで女に拘るなら、先にあの性格をなんとかしろ。
「椛は……
またテキトーに人妻引っ掛けに行ったのか」
「この時間から人妻なんて見つかるんですかね」
「知らね。
帰ってこねーなら、いるんじゃねーの?」
ペットボトルのミネラルウォーターを冷蔵庫から取り出して、ソファにどかっと座る。
その拍子にスウェットのポケットに入れていたスマホの重みが太ももに乗っかったことで思い出して、意味もなくポケットから出した。
「莉央さん、ここ数日起きるの早いですよね」
「……そーか?
遅いと椛に朝飯別で作んのめんどくせえって文句言われっからな」
「……そうですか?
毎回じゃないですけど、南々先輩が朝からここに来てる日があるからなのかと思ってました」