【完】こちら王宮学園ロイヤル部
誰ともかぶらない、特殊な色の瞳が俺に向く。
手に取ったカップの紅茶の色が反射したのか、いつもより赤みが増して見えたそれは、どことなく人とは違う何かを思わせる。
「……ルノ」
「はい」
「……冗談にしてはつまんねーな」
「ですよね。僕もそう思いました」
紅茶に口をつけてから、ルノがカップをソーサーに乗せる。
時計があるのにスマホで時間を確認すれば、もうすぐ日が変わる時間。……椛は朝まで帰ってこなさそうだな。あと、あのオネエも。
つーことは、ルノと俺だけか。
「……お前風呂まだ入ってねーんだろ?」
「大丈夫です。
これが終わったら、部屋にもどって入ってから寝るので」
急ぎじゃねー仕事なのにそんなに詰めてどうすんだよ、と。
言いかけたけど、結局何も言わずに窓の外を見る。薄いレースで覆われてるせいで向こうは全然見えねえけど、雨が降ってるってことはわかった。
「……梅雨、明けませんね。
もう、6月も終わりだっていうのに」
俺の視線の先に気づいたらしいルノ。
でもその視線は俺にむかずに、がっつりパソコン。……なんで見えてんだよ。
「そろそろ明けんじゃねーの?」
「明けたら、暑くなりそうですよね」