【完】こちら王宮学園ロイヤル部



「……あ〜、だっりぃ」



「……あんたそれ、

絶対南々瀬ちゃんの前でやらないでよ」



「来ないって知ってるからこうしてんだよ」



早朝に。帰ってきてソファで潰れるようにして寝たものの、疲れが取れずにイライラしてる椛。

毎回朝帰りの日は何かしらやらかすんだから、いい加減やめればいーのによ。



「つーか、るーちゃんどこ行ったわけ〜……?

俺に唯一優しくしてくれる後輩……」



「ルノなら、今日はまだ起きてきてねーぞ」



言えば、「は!?」と大袈裟なほどに驚く椛。

勢いよく起き上がったのか身体に響いたのか、頭を押さえてるけど。俺ならまだしも、ルノが起きてないことなんか、普段はまずない。




「は?どしたの?ルノ体調悪いの?」



「あんたルノのこと大好きよね……

知らないわよ。今日はまだ誰もルノのこと見てないし。お昼まで起きてこなかったら、さすがに部屋まで行くけど」



「起きてますよ。

昨日夜更かししたせいで、いつもよりちょっと起きるのが遅くなっただけですから」



カチャ、と扉を開けて顔を覗かせるルノ。

いつも通りの様子に椛はほっとして、「るーちゃん心配させんなよ」と言うけど。本気で不安になったのか、頼りなさげに眉が下がっていた。



「今日も寝不足ですか」



「るーちゃん、タオル」



「……用意しますから待っててください」



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