【完】こちら王宮学園ロイヤル部
ぼそっとつぶやいた椛は、ようやく腕を解放した後、そのルノを連れてルアの様子を見に行った。
あいつは考えるよりも先に、行動するタイプだから。あれだけ怠いって言ってたくせに、そんなことはすっかり頭から抜けてんだろう。
「遊んでさえいなければ、完璧なのに」
残念な男ね、と吐き出すオネエ。
女の格好をしているから許されるだけであって。元の顔を知っている俺から見れば、すげー気持ち悪い。
「何よ、莉央。
あんた今失礼なこと考えたでしょ」
「気持ちわりーなって」
「やっだ、この男。
ねえいつみ聞いた!? 莉央がね、」
「……俺を修羅場に巻き込むなよ」
めんどくさそうに吐き出される言葉。
……修羅場って。そういう言い方するから、王様と女王様はデキてるとか言われんじゃねーのか。いや、この場合俺も巻き込まれてんのか。
「俺の恋愛対象は女であってオネエじゃねーよ」
「オネエ言うな……!
俺だって恋愛対象はがっつり女だわ!」
「へえ。なら俺のことは遊びだったのか」
「いつみ……!!
その気もねえのに誤解生みそうなこと言うんじゃねえよやめろ……!!」
ぎゃあぎゃあと、夕が騒ぐせいでリビングがうるさくなる。つーか素の口調出すぎだろ。
んで、どうせこの人仕事に飽きたんだろうな、と。いつみを見れば、騒ぐ夕を見てふっと小さく笑みをこぼしていた。
完全に夕のことを揶揄ってんな、コレは。