どんとこい背後霊
勇気を振り絞って正門をくぐり…教室に入る

ざわついていた教室が一瞬静まり返り、クラスメイトたちの視線が私に集中する。

「おはよ」

一応他人行儀に挨拶する…が、クラスメイトたちからの返答はない。

まあ、いつものことだけど。

クラスは再びざわつき始める。

それぞれのグループで、おしゃべりに花が咲いている。

何人かのグループは、私の方を見て、「クスクス」と忍び笑いをしている。

…一人、どのグループにも属さず、机に向かってうつむいている姿を見つけ、私は声をかける。

「マミちゃん、おはよう!」

ロングヘアーで眼鏡をかけたその少女…

稲垣マミはおずおずと顔をあげ、緊張した面持ちに少し笑顔を浮かべ、

「…ああ、宮田さん、おはよう…」

と答える。
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