一輪の花を君に。2nd
ーside美空ー



眩しい朝日が、カーテンの間から差し込み朝の光で目が覚めた。




時計は、気づけば6時をさしていて久々にちゃんと眠れたことにホッとした。




ここ最近は、色んなことを考えてたからかな…。





夜中に目を覚ますことが何度もあった。





いつも、同じ夢を見て辛くなって苦しくて目が覚めていた。






中森先生が、そばにいてくれるとこんなに安心して眠れるのかな…。






「美空ちゃん。おはよう。」






「あっ、花森さん。



おはようございます。」








「美空ちゃん、早起きだね。


眠れなかった?」





「いえ。久々にちゃんと眠ることができました。」






「久々に?」





「はい…。」






「そっか…。ちゃんと眠れたみたいならよかった。



今から、点滴交換するね。」






「はい。」





「じゃあ、何かあったらすぐに呼んでね。」






「はい。」





点滴を交換し終わった花森さんは部屋を後にした。






「美空?」





横で寝ていた中森先生が目を覚ました。





「先生…。起こしちゃった?」






「そんなことないよ。今日は、ちゃんと眠れたみたいだな。



顔がスッキリしてる。」







「はい。」





そう答えると、中森先生の顔が近づいてきた。






「えっ?」





「まだ、おでこは熱いな。



汗もかいたみたいだし、背中拭いて新しいパジャマに着替えよう。」






そう言って、着替えの準備をし始めた。





「ねぇ、先生?」





「ん?」





「腎臓移植って、難しい手術なの?」





「どうしたんだ?急に…。」






「いや…。なんとなく、気になって…。



もしも、腎臓が悪化して移植が必要になるかもしれないし…」







「そうだな…。



決して、簡単な手術とも言えないかな。



だけどな、俺は美空を絶対に助ける。



まだまだ、美空と一緒に生きていきたい。




心配なことはたくさんあるのかもしれない。




だけど、美空。



あきらめないでほしいんだ。




美空はずっと、この病気と向き合ってきた。




逃げることなんて、しなかったと思う。




だから、今の美空がいるんだ。




これからも、一緒に向き合ってくれるか?」







「先生…。



うん、私病気に負けないから。」





私はそう答えて、自然に笑みがこぼれていた。







「先生と、約束したこと絶対に叶えたい。」





「あぁ。俺もだよ。


美空は、俺の全てでもあるんだ。


それくらい、美空が大好きなんだ。」






ストレートすぎる、先生の言葉が嬉しくて恥ずかしくて思わず先生の胸に頭を預けていた。






「恥ずかしがり屋なんだから。



いいだろう、大好きなんだから素直に思いを伝えても。」







先生は、そう言って顔を覗き込む。





最近の先生は、いつも優しいけど時々こういう意地悪をしてくる時がある。







そんな先生が、たまらなく大好きで胸が苦しくなるくらいだった。
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