一輪の花を君に。2nd
ーside中森ー
七瀬先生と話していると、隣で規則正しい呼吸で眠る美空がいた。
本当、何の前触れもなく眠りにつくよな。
そこが可愛いというか愛おしいというか。
そんな危なっかしい美空がいつも心配で仕方ない。
「あ、美空。寝ちゃいましたか。」
美空を姫抱きにしていると、七瀬先生がそう言葉にしていた。
「寝ちゃったみたいです。」
「今日の表情は、穏やかですね。」
「ここ最近は、喘息の発作も起きてなくて安定しています。」
「よかった。
小児喘息は、8割は治ると言われていますが、やはり美空の場合は難治性だから完治することは難しいのでしょうか…。
そもそも、美空の喘息の原因って何なんでしょうか…。」
「白血球も、異常なければIgEも異常ないんですよね。
アレルギーは否定されて、詳しい原因は分からないんですよね…。」
「そうなんですよね…。
原因が分かれば、その原因を取り除いて発作を予防することが出来るのですが…。
今は、対症療法しかないんですよね。」
「そうですね。
一刻も早く、美空の喘息の原因が分かるといいんですが…。
美空、部屋に運んじゃいますね。」
「はい。」
美空を、姫抱きにして美空の部屋へ向かいベッドにそっと下ろした。
すると、ポケットの中に入っていた携帯が落ち、画面が光った。
『これは、榎本美空さんの携帯でしょうか。
はじめまして。
榎本廉斗です。
覚えているでしょうか。
信じられないと思いますが、美空の兄の榎本廉斗です。
いきなり、連絡をしてすみません。
だけど、連絡せざる負えない状況になってしまいました。
このメッセージを見たら、連絡ください。』
どうして…
どうしてこの人は美空の携帯の番号を知っているのだろうか。
メッセージが今届いたことが、不幸中の幸いだった。
まだ、美空は目を通していない。
でも、これのメッセージを消す権利なんて自分にあるのだろうか。
でも、美空がこのメッセージをみてまた心を閉ざしてしまうのでないか。
そう考えると、胸が締め付けられるように苦しかった。
やっと、自分を見せるようになってきたのに。
心を開けるようになったのに。
生きたいと思えるようになったのに。
一瞬にして、美空の心が壊されるのでないかと不安になった。
美空は、この現実を受け止められるのだろうか。
こんな小さな体で、色んな体験をしてきて、やっと美空にも幸せが見えてきたのに。
美空…。
俺は、美空の支えになりたい。
でも、このメッセージはどうするべきなんだ。
いくら考えても、答えが見つからなかった。
はぁ…。
だめだな、俺は。
いくら、美空を幸せにしたいと思っていても今目の前にあるこの現実さえもどうにかすることができないのか。
美空に、乗り越えてもらう方法も見つからないのか。
やるせない思いが俺を襲った。
「ん…。」
美空は、苦しそうな表情をしうなだれていた。
「美空…。美空!」
目元から流れた一筋の涙をみると、この苦しい表情は喘息発作の前触れでないことが分かった。
悪夢を見ているのなら、美空を起こした方がいい。
「ごめん、美空起きて。」
「先生…。」
美空はそういうと俺に抱きついてきた。
その様子は、何かにおびえているかのように震えていて、自分でもわかるくらいに美空を抱きしめる腕が強くなっていることが分かった。
だから…。
「中森先生…。痛い…。」
「ごめん。美空?どうかしたか?」
「私…。何か夢を見てたの…。よくは覚えてないんだけどすごくお父さんに似ている男の人が私のそばに近寄ってきた夢…。」
「怖かったな、美空…。安心して。今日は美空と一緒に寝ようと思うんだ。」
「でも、先生…。明日も仕事なんじゃ…。」
「俺がそうしたいんだ。今日は美空のそばにいたい。」
七瀬先生と話していると、隣で規則正しい呼吸で眠る美空がいた。
本当、何の前触れもなく眠りにつくよな。
そこが可愛いというか愛おしいというか。
そんな危なっかしい美空がいつも心配で仕方ない。
「あ、美空。寝ちゃいましたか。」
美空を姫抱きにしていると、七瀬先生がそう言葉にしていた。
「寝ちゃったみたいです。」
「今日の表情は、穏やかですね。」
「ここ最近は、喘息の発作も起きてなくて安定しています。」
「よかった。
小児喘息は、8割は治ると言われていますが、やはり美空の場合は難治性だから完治することは難しいのでしょうか…。
そもそも、美空の喘息の原因って何なんでしょうか…。」
「白血球も、異常なければIgEも異常ないんですよね。
アレルギーは否定されて、詳しい原因は分からないんですよね…。」
「そうなんですよね…。
原因が分かれば、その原因を取り除いて発作を予防することが出来るのですが…。
今は、対症療法しかないんですよね。」
「そうですね。
一刻も早く、美空の喘息の原因が分かるといいんですが…。
美空、部屋に運んじゃいますね。」
「はい。」
美空を、姫抱きにして美空の部屋へ向かいベッドにそっと下ろした。
すると、ポケットの中に入っていた携帯が落ち、画面が光った。
『これは、榎本美空さんの携帯でしょうか。
はじめまして。
榎本廉斗です。
覚えているでしょうか。
信じられないと思いますが、美空の兄の榎本廉斗です。
いきなり、連絡をしてすみません。
だけど、連絡せざる負えない状況になってしまいました。
このメッセージを見たら、連絡ください。』
どうして…
どうしてこの人は美空の携帯の番号を知っているのだろうか。
メッセージが今届いたことが、不幸中の幸いだった。
まだ、美空は目を通していない。
でも、これのメッセージを消す権利なんて自分にあるのだろうか。
でも、美空がこのメッセージをみてまた心を閉ざしてしまうのでないか。
そう考えると、胸が締め付けられるように苦しかった。
やっと、自分を見せるようになってきたのに。
心を開けるようになったのに。
生きたいと思えるようになったのに。
一瞬にして、美空の心が壊されるのでないかと不安になった。
美空は、この現実を受け止められるのだろうか。
こんな小さな体で、色んな体験をしてきて、やっと美空にも幸せが見えてきたのに。
美空…。
俺は、美空の支えになりたい。
でも、このメッセージはどうするべきなんだ。
いくら考えても、答えが見つからなかった。
はぁ…。
だめだな、俺は。
いくら、美空を幸せにしたいと思っていても今目の前にあるこの現実さえもどうにかすることができないのか。
美空に、乗り越えてもらう方法も見つからないのか。
やるせない思いが俺を襲った。
「ん…。」
美空は、苦しそうな表情をしうなだれていた。
「美空…。美空!」
目元から流れた一筋の涙をみると、この苦しい表情は喘息発作の前触れでないことが分かった。
悪夢を見ているのなら、美空を起こした方がいい。
「ごめん、美空起きて。」
「先生…。」
美空はそういうと俺に抱きついてきた。
その様子は、何かにおびえているかのように震えていて、自分でもわかるくらいに美空を抱きしめる腕が強くなっていることが分かった。
だから…。
「中森先生…。痛い…。」
「ごめん。美空?どうかしたか?」
「私…。何か夢を見てたの…。よくは覚えてないんだけどすごくお父さんに似ている男の人が私のそばに近寄ってきた夢…。」
「怖かったな、美空…。安心して。今日は美空と一緒に寝ようと思うんだ。」
「でも、先生…。明日も仕事なんじゃ…。」
「俺がそうしたいんだ。今日は美空のそばにいたい。」