一輪の花を君に。2nd
ーside大翔ー
授業の終わりをつげるチャイムが鳴っても、美空はぼーっと窓の外を眺めていた。
今日は1日、美空は元気がなかった。
1日中、心ここに在らずっていう感じだった。
なにかまた、あったのだろうか。
「美空、大丈夫?」
俺は、美空のそばに行き声をかけたが、美空は頷くだけで俺の顔も見ようとはしなかった。
少しだけ、心配になった。
こんな様子は、あの日以来だった。
美空が、施設にいた最初の頃はこんな感じで表情もなかった。
感情もなく、じっとしていることの方が多かった。
俺は、その時の美空を思い出した。
「美空、今日はもう授業終わったよ?」
「えっ?」
美空はやっと、我に返ったように携帯で時間の確認をしていた。
「本当だ…。ごめん、教えてくれてありがとう。」
「いや。何かあった?」
「…。ねえ、大翔は兄弟とかいたんだっけ?」
兄弟?
「いや。いなかったと思うけど。
どうして?」
「…何でもない。ごめんね、いきなりそんなこと聞いちゃって。」
「大丈夫だよ。美空、今日は一緒に帰ろう?」
「…ごめん、今日の帰りは寄るところあるから。先に帰ってて。」
そう寂しそうに笑った美空。
これは…
放っておけるようなことじゃない。
「今日、俺も特に用事はないから付き合う。」
「大丈夫。私、たしかめたいことがあるの。」
美空はそこまで言葉にはしたが、もうそれ以上は何も触れないでほしいという感情が伺えた。
あまり、しつこくして美空から嫌われたり、心を閉ざされたりすることが怖くて、それ以上に俺は何も口にすることができなかった。
「分かった。気をつけて帰るんだよ。」
「ありがとう。」
美空は、少し笑顔を見せて手を振ってから教室を後にした。
授業の終わりをつげるチャイムが鳴っても、美空はぼーっと窓の外を眺めていた。
今日は1日、美空は元気がなかった。
1日中、心ここに在らずっていう感じだった。
なにかまた、あったのだろうか。
「美空、大丈夫?」
俺は、美空のそばに行き声をかけたが、美空は頷くだけで俺の顔も見ようとはしなかった。
少しだけ、心配になった。
こんな様子は、あの日以来だった。
美空が、施設にいた最初の頃はこんな感じで表情もなかった。
感情もなく、じっとしていることの方が多かった。
俺は、その時の美空を思い出した。
「美空、今日はもう授業終わったよ?」
「えっ?」
美空はやっと、我に返ったように携帯で時間の確認をしていた。
「本当だ…。ごめん、教えてくれてありがとう。」
「いや。何かあった?」
「…。ねえ、大翔は兄弟とかいたんだっけ?」
兄弟?
「いや。いなかったと思うけど。
どうして?」
「…何でもない。ごめんね、いきなりそんなこと聞いちゃって。」
「大丈夫だよ。美空、今日は一緒に帰ろう?」
「…ごめん、今日の帰りは寄るところあるから。先に帰ってて。」
そう寂しそうに笑った美空。
これは…
放っておけるようなことじゃない。
「今日、俺も特に用事はないから付き合う。」
「大丈夫。私、たしかめたいことがあるの。」
美空はそこまで言葉にはしたが、もうそれ以上は何も触れないでほしいという感情が伺えた。
あまり、しつこくして美空から嫌われたり、心を閉ざされたりすることが怖くて、それ以上に俺は何も口にすることができなかった。
「分かった。気をつけて帰るんだよ。」
「ありがとう。」
美空は、少し笑顔を見せて手を振ってから教室を後にした。