一輪の花を君に。2nd
美空は、廉斗君から連絡が来て会うかどうかということに1人思い悩んでいた。



「美空…。あなたは、どうしたい?」




「私は…。気になったんです。


この、連絡しないといけない状況というのがどういう事なのか。



会っても大丈夫か悩みました。



だけど、この文がずっと心の中に引っかかっていて…。」





美空は、そう言うと下を向いた。




私は、美空に下を向いて欲しくなくて顔をあげさせた。





「美空のお兄さんにあたる榎本廉斗さんはどういう人なのか分からないから余計に不安っていうこともあるのかな?」





「私…。


偏見なのかもしれません。


だけど、話してもいいですか?」




美空は、よそよそしくそう話していた。




今更、美空の話を聞きたくないなんてあるわけもないのに。



その謙虚さというか、相手のことを考えすぎてることも少し心配になったりもする。




まあ、そこも美空のいいところなんだけど。




「いいよ。話して。」




「私、中森先生に会う前は大人の男性が嫌いでした。



だから、10歳も離れてるこの人がお父さんと重ねてしまうんじゃないかって不安で…



そう考えたら、会うことも私から連絡を折り返すこともできなくて。



先生…。


私は、どうすればいいのかな…。」




美空は、中森先生と出会って変わった。




その証に、美空はにげなくなった。




どうすればいいのか。



壁に当たったとき考えられるようになった。




少しずつ、でも確実に




1歩ずつ大人になっているんだ。





その成長を、私は支えていく義務がある。




「美空。


私が言えることは、やっぱり美空にとって1番は、美空がどうしたいかじゃないのかな。



私は、お兄さんと会うことを勧めたり、会わない方がいいとは言えない。



それって、私の決断になってるだけだと思うんだ。



大事なのは、美空が後悔しないこと。



美空が後悔しないようにゆっくり考えることが大切なんじゃないのかな…。」





「千鶴先生…。」




美空は、少しだけ俯いてから顔を上げ私に可愛い笑顔を見せてくれた。




「千鶴先生、ありがとうございます。



私、もうちょっと考えてみます。」




「美空。でも、これだけは忘れないでほしいんだけど美空は1人じゃないし、思い詰めちゃうくらい悩んでしまうのだったら、いつだって来てもいいんだからね。


私は、美空や美空達が旅立ってもみんなのお母さんであることには変わりないんだから。」





「先生…。」




私は、美空を優しく抱きよせた。




「美空…。頑張れ。」





そう心に込めて。



美空はそれから、私の部屋を後にし最後は笑顔で施設から帰った。
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