一輪の花を君に。2nd
それから、一睡もできず朝を迎えていた。



言うまでもなく、体調は最悪。



身体が、ものすごいだるい。



「美空、そろそろ起きないと遅刻。


美空!?大丈夫?」



顔色の悪い私を見て、香音が急いで近寄って来てくれた。




「今日はちょっと、学校休もうかな。


なんか、身体がだるいんだよね…。」



私の言葉を聞いて、香音は驚いていた。



無理もない。



私は、体調が悪くても無理して学校へ行っていた。



むしろ、休むのが嫌だった。




だけど、正直そんなことを言ってる余裕もない。




顔を見て、話すのも精一杯だった。





「美空、中森先生に電話しよう?


その状態だと、自分で病院へ行けないでしょ?」




「違うの。」




「えっ?」




「病院へ行くほどじゃないの。


だから、中森先生には言わないで。」




「でも…」




「お願い。中森先生に知られたくないの。


ちょっと考えたいから。


昨日も、考え事してて眠れなかったの。


病気のことじゃないから、あまり心配しないで。」




「美空、ちょっといい?」




「なに?」




「その顔、出会った頃と同じ表情してる。」




「何言ってるの…。そんなことない。」





「美空、昨日から様子がおかしいよ。


そんな表情、そんな悲しそうな表情あの日以来だよ。


美空、自分と向き合うことも大切だけど、抱え込むのはよくないと思う。


身体にだって負担がかかる。



もちろん、心にも負担がかかるよ。」




香音は、そう言って私の頬に触れた。




だけど、今は1人で考えたかった。




だから、私は香音の手をそっと自分の頬から外した。




「ありがとう。でも、今は1人にしてほしい。


ちゃんと、落ち着いたら話すから。


それまで待ってて。」




私は、香音にそう話すことが精一杯だった。




「分かった。しつこいと思うかもしれないけど、いつでも、私たちのこと頼っていいんだからね。」



「うん。ありがとう。」




香音は、そう言った私に少し安心した表情をして部屋をあとにした。
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