一輪の花を君に。2nd
ーside 中森ー



朝早くに、1件のメールが入っていた。



メールを開くと、香音ちゃんからメールが入っていた。



香音ちゃんから自分にメールが届くのは、大体美空のこと。




だから、何かあったのかと思いすぐにメールを開いた。




その嫌な予感は見事に的中していた。




『美空の様子がおかしい。』



たった、1文だったけどよっぽどのことでは無いと思った。




幸い、メールが来たのも昼休みに入った時で急いで美空に電話をした。




だけど、美空は電話に出ることはなかった。




どうしたんだよ。




『電話に気づいたら折り返し電話して。


いつでも大丈夫だから。』




俺はそうメールに残し午後の診療に向かった。





夜になっても、美空からメールや電話が1件もなかった。




そんな時、待合室にいたのは大翔君と香音ちゃんだった。




「中森先生。少し、お話があるのですが。」




大翔君のその一言に、一気に緊張が走った。




「ここだとゆっくり話せないから、いつもの談話室で話そうか。」




そう言って、俺は大翔君と香音ちゃんを談話室へ連れて行き、冷たいココアを出した。




「実は、今日。今日というよりも前から美空の様子が少しおかしくて。


でも、今日は学校も休みました。


すごい体調も悪そうだったけど、病気のことじゃないから中森先生には連絡しないでって口止めされちゃって。


私、あんな美空を見るの施設に来た時以来で…。



また、心を閉ざしてしまうんじゃないかって心配なんです。」





学校を休んだって…




たしか、美空は昔から学校を休むことを1番嫌がってたよな。




だから、休むなんてよっぽどのこと。




「それで、今美空のこと誰がみてるの?」





「美空のことは、翔太に任せてきました。



先生、俺不安なんです。



せっかく、前向いて生きようって前向きになってきたのに。



もしかしたら、美空。お兄さんと何かあったんじゃないのかなって思うんです。



悩むことといったら、心あたりがそれ以外になくて。」





大翔君の言葉が、痛いぐらいに自分の心へ響いてきた。




「大翔君、香音ちゃん。今日、そっちに行ってもいいかな。


美空と、話がしたいんだ。」




「分かりました。こっちは大丈夫です。



先生、美空のことよろしくお願いします。」




大翔君は、そう言って香音ちゃんと一緒に頭を下げていた。
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