一輪の花を君に。2nd
美空の部屋へ入ると、電気もつけずベッドに横たわる美空がいた。
近くには翔太君がいて、近くには氷枕やゼリーが置いてあって、看病していた後がみられていた。
苦しそうに眠る、美空の表情をみてすぐにおでこを触り、美空の体温を確かめると熱を帯びていた。
急いで美空の体を持ち上げ病院へ連れて行った。
表情や、翔太君から詳しく話を聞いて脱水状態になっていることが分かった。
ルート確保をし、美空に補液を行った。
苦しい表情をしながら眠る美空を見るとたまらず美空を抱き寄せたい気持ちが抑えきれなくなっていた。
美空の身体を半分起こし、自分の胸へ美空の頭を引き寄せた。
「美空…。
こんなに、小さい体で1人で抱え込まなくていいんだよ。
一体、何があったんだ。」
聞こえるはずもないのに、気づいたらそう言葉にしていた。
瞳から、一筋の涙が流れ落ちすぐに自分の手で拭った。
段々と浅くなっていく呼吸に、美空は苦しかったのか目を覚ました。
「中森先生…。なんで…ここに?」
息を切らしながら、美空はそう言った。
すぐに吸入をさせ、背中をさすり次第に呼吸も落ち着いていった。
「なぁ、美空。何があったんだ。」
美空はずっと、発作が怖いのか俺を抱きしめたまま離れようとしなかった。
こんな様子を見るのは初めてで、頼ってくれているようで嬉しかったけど、美空は首を横に振るばかりだった。
「美空…。
いつから、体調が悪かったんだ?」
「昨日から…。
昨日、色々考え事をしてたら眠れなくなっちゃって…。
一晩眠れなかったくらいで、こんなに体調が悪くなっちゃうなんてダメだね。」
「そんなことない。
美空…。
美空が、全部背負うことないんだよ。
前にも言ったかもしれないけど、誰かに寄りかかったり頼ったりして、もっと肩の力を抜いて生きていいんだよ。
そのために、俺もいるしみんながいるんだ。
美空が背負ってる荷物、半分俺に背負わせてくれないか。
一緒に、美空が悩んでいることに寄り添いたいんだ。
だからさ、美空。
何か悩んでたら、俺に話して。」
美空は、それから何も言わなかった。
それから、しばらく沈黙が続いたが美空はゆっくり口を開いた。