一輪の花を君に。2nd
ーside 美空ー



中森先生は、私の様子の変化に気づいていた。



きっと、中森先生だけではなく大翔や香音、翔太に理人もそうだと思う。



もう、私には1人では手に負えない。



そんな気がしていた。



「中森先生…。」




私は、半分だけ身体を起こした。




中森先生は、私の肩に手を回し優しい眼差しで話を聞こうと準備をしてくれた。



「実は、兄にあったの。



4月の、健康診断の結果で心電図に異常が見られたんだって。」




私は、そう言って兄からもらった茶色の封筒を中森先生に渡した。




「心電図に異常?」




「うん…。」




中森先生は、茶色の封筒を開き結果をみて難しい顔をしていた。





「美空、明日は休みだよな。


詳しく、検査しよう。」




検査って…?



なんの検査?



急な不安が私を襲い、抱きしめられていた中森先生の腕を振り払った。




「いい。」



「えっ?」



「検査なんて、しなくていい。」



「でも…」




「ごめん。中森先生、もう帰って大丈夫です。


私は、大丈夫だから。」




これ以上、病気が見つかるのが怖かった。




それ以上に、こんなに病気を抱えた私を、中森先生に背負わせたくなんてなかった。




それに…。




こんなめんどくさい問題を抱えている私のことを、嫌いにならないか不安だった。





触れるべきじゃなかったのかもしれない。




中森先生の優しさや、愛情なんて知らなければよかった。




そしたら、こんなに苦しまずにすんだのに。




そんなことを考えていると、再び中森先生の腕の中に収まっていた。




「何が、大丈夫だよ。」




「えっ?」




「そんな顔して、何が大丈夫なんだ。


美空。前にも言っただろう?


何かあったら、俺に話してって。


俺は、美空の全てを知りたいんだ。


美空の全てを受け止める。


それに…。


いつだって、何があっても美空と一緒に生きていたいと思うんだ。


出会った頃から、ずっと美空と一緒にいたいって思っていた。


だから、美空。


俺を、信じてくれないか?」




中森先生の瞳は真剣で、視線を外すことなく私の瞳を捉えていた。





「面倒じゃないの?



過去に、色々あったし私普通の女性じゃないんだよ。



先生が、色んなリスクを背負う必要なんてないんだよ。



私は、先生のこと不幸になんてしたくないよ。」





「不幸にしたくないって思ってくれているなら、俺のそばにいてほしい。



それに、美空と出会って美空のことを俺なりに知って面倒だなんて思ったこと1度もない。



俺は、ありのままの美空が好きなんだ。




好きだけじゃ収まり切れないほど、どんどん気持ちが大きくなっていく。



自分でも、驚くほどに美空のこと頭から離れたことなんてない。



だから美空、安心して俺のそばにいてくれないか。」

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