一輪の花を君に。2nd
Side 中森


理人「そういえば今日は買い出しするの忘れちゃったな。」



大翔「そうだった。どうしよか…。」



冷蔵庫の中を見ながら、理人君と大翔君が難しい顔をしていた。



理人「お米があるから、何か作れそうかな。卵なしのオムライスでもいいかな。」



翔太「シチューの素とお芋と人参もあるからシチューも作れそう。」



みんなご飯は、知恵を出し合って協力しながら作っているんだな。



まだ高校生なのに、コンビニとかに頼らず自炊しているのが偉いよな。




「俺にも何か手伝わせてくれないかな。」




「大丈夫ですよ。いつもやってるので。それに、今日は美空に具合があまりよくないから美空のそばにいてあげてください。」




大翔君の言葉に甘えて、美空の元へ向かった。




美空はソファーに座って香音ちゃんと楽しそうにお話をしていた。




「あっ。中森先生。先生も一緒に話そう。」




香音ちゃんにそう言われ、美空の隣に腰を降ろした。




それから、話をしていると大翔君たちが食事の準備をしてくれた。



美空は急に立ち、大翔君たちの元へ向かった。




「今日は美空。ご飯いらない日なのかもしれない。」




そんな様子を見ていた香音ちゃんがそう話した。




「そっか。点滴の補液もしたから大丈夫だと思うけど心配だな…。」




こういう日は何回かあるのかな。




皆で暮らし始めてから、少しずつ体重が落ちていることに気づいてはいた。




施設にいた時は食事の管理や栄養の管理はすべて七瀬先生がしていてくれたんだよな。




皆が悪いってことはないけど正直不安にはなる。




「美空、ちょっといいかな。」




そう声かけると美空は自分の元へ来てくれた。




「最近で大丈夫なんだけど、今までご飯食べない日とかはどれくらいの頻度であったの?」



「うーん…。週に3回くらいかな。でも1日全く食べない日はなくて何かしらは食べてたと思う。



だけど、食欲ない日は何日かあってお部屋から出ない日もあったし、皆で集まってご飯食べる日は平日は少ないから皆朝ごはん以外はバラバラだったかな。」




そうか。



平日の日は皆帰る日もバラバラだっただろうし、美空はバイトもしているんだからゆっくりご飯食べたり話すことは休日ではない限り少ないんだろうな。




「なあ。美空が良ければ平日できる限り家に訪問してもいいかな。



皆の暮らしを邪魔するわけではないけど、美空の食生活も心配なんだ。



きっと今まで食事管理は七瀬先生がしてくれていたと思うんだ。



だから、今度はその役割を自分にさせてほしい。」




大翔「大丈夫ですよ。ぜひ、お願いします。」



皆のご飯をお盆で運びながら大翔君が頭を下げた。




理人「正直、毎日皆でご飯食べることが難しくて美空の食生活のことをずっと心配してたんです。


ご飯のことは美空に無理はさせたくなかったんですけど、食べてない日もあるのかなって思うと身体も崩しちゃうし心配で。」




香音「いいと思う。美空が栄養足りなくて倒れちゃったら嫌だから。」




「ありがとう。そしたら美空。そういうことでいいかな。」




「いいです。頑張ります。」




美空は下を向きそう返事をした。
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