一輪の花を君に。2nd
6時間目のチャイムが授業の終了を告げる。
「やっと終わったね…。って、美空⁉」
私は時間が経つにつれ、体のだるさが増していって体も熱を帯びていた。
「大翔!美空が!」
雨音の緊迫した大きな声に、急いで大翔が私の元へ来てくれた。
「美空。すぐ中森先生呼ぶからな。」
大翔は、急いで中森先生に電話しようとしてくれていた。
だけど…。
この時間は、きっとまだ先生は仕事をしている。
しかも、この時間の外来は1番混み合っていることは前から知っていた。
先生に、迷惑はかけたくない。
「やめて。ひろ…。」
残っている力を振り絞って、私は急いで大翔の手を止めた。
「でも…。美空そんな状態だと帰れないだろう?」
「だけど…。」
「ごめん、いくら美空のお願いでもそれだけは聞いてあげられない。
それに、学校に来る前先生と約束しただろう?
何かあったらすぐに言うことって。
それに、もう美空の苦しむ姿見たくない。
我慢なんてする必要なんてないんだよ。」
大翔の言葉は、私の心に深く染み込んでいってまるで私の心を見透かしているような気がした。
段々ぼやけていく視界に、段々遠ざかっていく声。
体力の限界を感じ、私は気づいたら意識を失っていた。
「美空⁉」
大翔のその声は、私には届かなかった。