一輪の花を君に。2nd
ーside理人ー
それは、新しい家に引っ越してからの事だった。
俺は、美空の『兄』という人の電話を受けた。
たしか、美空は1人っ子だったって聞いたことがある。
兄弟はいないと。
ある、土曜日の昼間だった。
1本の電話が、家に入った。
たまたま、俺が出たからいいものの、もし美空が出ていたら…。
そう考えたら、ぞっとする。
中森先生の話を聞いてから、尚更言い出しにくくなってしまった。
やっと、生きることに強い思いが美空に出てきたのに。
今更、こんな現実を突きつけたくない。
その『兄』と名乗る人は、
『美空とは血は繋がっていない。』
『美空は、精子バンクの精子提供で体外受精された女の子』
俺は、この現実に俺でさえ何も考えられなくなった。
こんなこと、美空が知ったら…。
だから、俺は人生経験があって医療知識のある先生に、相談したかった。
美空に、何かあった時俺も対応できるように。
とにかく、もしこの現実が本当で、美空がそれを知ってしまったら、支えていけるように中森先生に相談してみた。
支えていくためには、知識がないと話にならない。
「それで、どうかした?」
先生に、温かいココアをよそってくれた。
「実は、先週の土曜日に美空の『兄』と名乗る人から、電話があったんです。」
「え?」
「それで…」
いざとなると、どこから説明していいか分からなくなってしまった。
「いいよ、ゆっくりで。」
「美空は、精子バンクから精子提供を受けたって。
それが、本当なのか分からないけど、もしかしたら父親が美空に対して暴力をふるっていた理由が、その事だとしたら許せなくて。
それが、例え過去であっても、美空にしたことは無しになんてできませんから。」
「美空が…。
理人君。
その人の電話番号って、電話に残ってるかな?」
「多分、残っていると思います。
施設からは週3でかかってきますけど、それは施設と出るので。
それ以外の人からかかったことはあまりないので、すぐに分かると思います。」
それは、新しい家に引っ越してからの事だった。
俺は、美空の『兄』という人の電話を受けた。
たしか、美空は1人っ子だったって聞いたことがある。
兄弟はいないと。
ある、土曜日の昼間だった。
1本の電話が、家に入った。
たまたま、俺が出たからいいものの、もし美空が出ていたら…。
そう考えたら、ぞっとする。
中森先生の話を聞いてから、尚更言い出しにくくなってしまった。
やっと、生きることに強い思いが美空に出てきたのに。
今更、こんな現実を突きつけたくない。
その『兄』と名乗る人は、
『美空とは血は繋がっていない。』
『美空は、精子バンクの精子提供で体外受精された女の子』
俺は、この現実に俺でさえ何も考えられなくなった。
こんなこと、美空が知ったら…。
だから、俺は人生経験があって医療知識のある先生に、相談したかった。
美空に、何かあった時俺も対応できるように。
とにかく、もしこの現実が本当で、美空がそれを知ってしまったら、支えていけるように中森先生に相談してみた。
支えていくためには、知識がないと話にならない。
「それで、どうかした?」
先生に、温かいココアをよそってくれた。
「実は、先週の土曜日に美空の『兄』と名乗る人から、電話があったんです。」
「え?」
「それで…」
いざとなると、どこから説明していいか分からなくなってしまった。
「いいよ、ゆっくりで。」
「美空は、精子バンクから精子提供を受けたって。
それが、本当なのか分からないけど、もしかしたら父親が美空に対して暴力をふるっていた理由が、その事だとしたら許せなくて。
それが、例え過去であっても、美空にしたことは無しになんてできませんから。」
「美空が…。
理人君。
その人の電話番号って、電話に残ってるかな?」
「多分、残っていると思います。
施設からは週3でかかってきますけど、それは施設と出るので。
それ以外の人からかかったことはあまりないので、すぐに分かると思います。」