短編集〜アオハル〜

「ふふふふふーふふふーふーふー」


 朝8時前。

 教室の扉の前で機嫌良く歌う少女。

 明るい髪色にサラサラのボブ。

 他人より優れたその容姿によく合う花の咲いたような笑顔。


「おっはー!!」


「春陽!おはよー!」


 教室で1人台本を持っていた少女。

 長くてくせっけ髪をポニーテールにしている。

 そして何故か『私が主役だ!』と書いたたすきをかけている。


「次の劇の練習?てか何そのたすき」


「後輩にもらったの!春陽こそ雅子はどうしたの?いつも一緒に来てるじゃん。」


「駅から競争してきたんだよねぇ。早くついたほうがジュース奢ってもらえるっていうのでー」


 机に鞄を置くと窓から正門を覗く春陽。


「春陽も来るよね、劇。」


「光が主役やるやつでしょ?行く行く」


「絶対だからね!」


「もーう、ちゃんと行くってば〜いざとなったら蒼が連れて行ってくれる!」


「自分で来いよ!?」

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