promise
恋人っていう関係
「光来、帰ろ」
放課後になるなり、律儀にもわたしの教室まで迎えに来た優羽にちょっと面食らった。
「……どうかした?」
わたしの手を引きながら歩く優羽が、難しい顔して黙ってるわたしの顔を不意に覗き込んだ。
「ちょっとびっくりした」
「なに?」
「……ホントに彼氏みたいだったから」
たった一週間の恋人ごっこのモニターをまさか教室まで迎えに来て、
優しく手を引いてエスコートしてくれるなんて思ってもみなかった。
「だって、ホントに彼氏だし?」
こう言って楽しそうに優羽が笑うから、ちょっと恥ずかしさが込み上げくる。
優羽を意識して赤らんだ顔に、冷たい風がちょうど良くて心地良い。
「今日は映画観に行こ」
優羽の提案にわたしはゆっくりと頷いた。
優羽とずっと幼なじみだけど、映画なんて来るのは初めてだ。
「光来、観たいのある?」
「……これ」
わたしの意見に合わせて映画を選び、
「あぁっ。俺も観たかったんだ。これ」
それに微笑みながら同意してくれる優羽は、優しい彼氏なんだと思う。
やっぱり伊達に経験は積んでない……。
優しくされる度に今までの彼女たちに、嫉妬を覚える自分を浅ましく感じてしまった。