promise
指輪の光る右手と微笑んだ優羽の顔を忙しなく見比べてるわたしに、
「光来にあげる」
「えっ! いいよっ」
笑顔で申し出る優羽に慌てて首を横に振った。
「ダメだよ。もう決めたから」
「勝手なこと言わないでっ」
「光来は俺のモノですって印」
さらりと言われた言葉に、わたしの胸はドキンと高鳴った。
でも、すぐにそれは打ち砕かれる。
「恋人ごっこの約束の印」
笑顔の優羽はこう言い残し、店員さんの方へと歩いて行ってしまった。
優羽があんまり優しい顔で笑ったりするから、わたし忘れそうになってた……。
これが一週間の恋人ごっこだったってことを。
右手の薬指に光る指輪を見つめる目に、じわっと涙が滲んだ。
この指輪は恋人ごっこの印。
わたしに勘違いをさせない戒めなんだ……。