promise
甘い痛みの先に
いつの間にか薄暗かった部屋には太陽の光が差し込んでいた。
明るく照らされた窓ガラスに写った顔は、今まで見てきたどのわたしよりひどい顔をしてる……。
とにかく今は忘れてしまいたい。
優羽に無理矢理体を抱かれたことも、優羽に向けていた淡い恋心も。
体中に染み込んだ優羽の甘い石鹸の香りを落とそうと、ベッドから立ち上がった足を携帯の着信音が止めた。
着信の相手は優羽のお兄ちゃんの想羽(そう)くんだ。
何かを訴えるかのようにうるさく鳴り響く携帯。
こんな朝早くから何の用だろう……。
「……もしもし?」
通話ボタンを押したと同時に出した自分の声が思いのほか気怠い。
「優羽は病院に向かった?」
想羽くんの第一声の意味が全くわからず、電話を握ったままわたしは首を傾げた。
「……なんのこと?」
怪訝な声で想羽くんに問い返したわたしに、
「光来……優羽に何も聞いてないのか?」
想羽くんは驚いたように声を上擦らせていた。