promise
壊れていく想い
「じゃあ……24日の朝には病院に向かうわ」
出張をキャンセルしようとした母さんに、入学の日にした約束を持ち出して半ば無理矢理父さんと出張に行かせた。
「おいおい……。大事な息子を思う親心も汲んでやれよ」
心配そうに何度も俺を振り返りながら玄関を出る両親にわざとらしいくらいの作り笑顔を見せ、手を振って見送った俺を見ていた兄貴の一言。
背後でため息をつく兄貴を振り返り、
「兄貴は?」
「はあ?」
「ケーキ屋、徹夜で仕込みだろ?」
バイト先であるケーキ屋用の制服一式を投げ渡した。
されるがままに投げられた制服を鞄に詰めながら、
「まあな。でも、早く終われば帰って……」
「来なくていい」
「なんでだよ。俺は親父たちみたく心配してるわけじゃ」
「分かってるよ。俺は邪魔すんなって言ってんの」
訝しがる兄貴に一度、深いため息を漏らした。