シンデレラの魔法は解けない
愚かだと分かっていた。
それに、ヤンキーの平さんが、素敵男性の平さんではないかもしれない。
……いや、確信があった。
服装も雰囲気も話しかたも違うけど、絶対に彼はあたしの大好きな平さんなのだ。
あたしに背を向けて去ろうとする彼を、
「平さん!」
思わず呼んでいた。
呼びながらも、なんてことをしているのだろうと思った。
胸は熱く鼓動は速い。
本性を現した平さんは、あたしに牙を剥くかもしれない。
それか、冷たい目で見られるかもしれない。
だけど、呼ばずにはいられなかったのだ。