シンデレラの魔法は解けない
王子様と甘い夜?
平さんの家は、住宅街にある単身用の1LDKだった。
ただ、デザイナーズマンションのようで、広くてお洒落だった。
さすが平さん、マンションまでお洒落なのかと舌を巻いてしまう。
そんなあたしを部屋に招き入れ、
「広くないけどどうぞ」
いつも通り穏やかに告げる。
平さんの家に足を踏み入れながら、やたら大きい音を立てる胸を掴む。
剥き出しのコンクリートの壁に、大理石のような白いフローリング。
そして、アイランドキッチン。
その全てが洗練されていて、お洒落で。
微かに漂う煙草と平さんの香りに焦がれた。