シンデレラの魔法は解けない
そんなあたしに、
「藍ちゃん、ご飯食べた?」
平さんはいつも通りの口調で聞く。
あたしはこんなに緊張しているのに、平さんは平気なのか。
……そうだよね、あたしが一方的に平さんに恋しているだけで、平さんはあたしなんて好きでもない。
その事実に愕然とする。
林さんの言う通り、平さんと付き合えるだけで幸せなのだろう。
だけど平さんを手に入れたら、その心まで欲しくなってしまう。
あたしは、贅沢な生き物だ。