シンデレラの魔法は解けない
平さんはあたしの前にしゃがみ込み、じっと瞳を覗き込む。
その優しい瞳に見つめられ、身体が沸騰してしまいそうになった。
「藍ちゃん、服装なんて気にしなくてもいいんだよ」
平さんはまたそんなことを言う。
「スウェットで外に出る、いい歳したおじさんよりはずっとマシだよ」
きっと、平さんはあたしに気を遣わせないようにしているんだ。
そんな平さんの心遣いは嬉しいが、
「お洒落な平さんと自信を持って歩きたいんです」
あたしは平さんに言っていた。