シンデレラの魔法は解けない
「あの……仕事部屋は、大丈夫ですか?」
「うーん……大丈夫じゃないけどね」
平さんの困った顔が、あたしの胸に突き刺さる。
「だけど、そこまで深刻でもないよ。
あそこに置いてある服は、処分に困っていたり使う予定がないものもあるから。
あとは、新しく立ち上げようとしているブランドの試作品とか」
「そうなんですね……」
「金銭的損害は大きいけど、使う予定の衣装は無事だった。
だから、仕事には影響しないよ。
でもね……」
平さんはいたずらそうにあたしを見る。
「すげームカつく。
犯人、絶対に見つけてやる」