シンデレラの魔法は解けない






「あの……仕事部屋は、大丈夫ですか?」



「うーん……大丈夫じゃないけどね」




平さんの困った顔が、あたしの胸に突き刺さる。




「だけど、そこまで深刻でもないよ。

あそこに置いてある服は、処分に困っていたり使う予定がないものもあるから。

あとは、新しく立ち上げようとしているブランドの試作品とか」



「そうなんですね……」



「金銭的損害は大きいけど、使う予定の衣装は無事だった。

だから、仕事には影響しないよ。

でもね……」




平さんはいたずらそうにあたしを見る。




「すげームカつく。

犯人、絶対に見つけてやる」



< 241 / 272 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop