シンデレラの魔法は解けない
「あんた、あたしにビビってて、慶太と上手くやれてるの?」
「……え?」
「慶太のおっかなさは、あたしなんて比にな、ないでしょ?」
「平さんは……」
原さんに怯えながらも、あたしは告げる。
「平さんは……すごく優しいです」
「……マジで?」
原さんはサングラス越しに、驚いたようにあたしをまじまじと見た。
おっかない平さんをあたしがあまり知らないように、原さんは優しい平さんを知らないのだ。
優越感に浸るとともに、羨ましくも思った。
あたしは、平さんの全てを知りたい。