シンデレラの魔法は解けない
「ねぇ、藍ちゃん……」
宝石のように輝く夜景を背景に、平さんはあたしに告げる。
「結婚しよう。
俺とずっと一緒にいてよ」
そう言って渡された、紅い薔薇の花束を両手に抱きしめて……
あたしは涙を流していた。
大好きな平さんとずっと一緒にいられることが、こんなに幸せなんて。
この世界に、こんなに幸せなことがあるなんて。
「よろしくお願いします」
涙でくしゃくしゃになった顔で、平さんを見て笑っていた。
大好きな王子様の手を、あたしは一生離さない。
ー完ー