シンデレラの魔法は解けない





予想以上の回答に声が裏返っていた。

菅井さんももちろん凄い人だ。

だけど、平さんだって……





ぽかーんとしていると、



「菅井さん、余計なことを言わないでくださいよ」



苦笑いしながら平さんが部屋に入ってくる。



「俺はそんなことを、藍ちゃんに自慢するつもりはないんだから」





藍ちゃん。

そう言われてどきんとした。

そして、林さんの言う通りかもしれないと思った。

平さんは素敵男性なだけではなく、凄腕のスタイリストだ。

彼は綺麗な女優やモデル相手に仕事をしているのだ。

そんな平さんがあたしになびくはずもない。

あたしを変身させようとしているのはきっと、あたしが一緒に歩けないほど見すぼらしいからだ。


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