シンデレラの魔法は解けない
いつの間にか敬語ではなくなっている平さんにドキドキしながら、彼の隣を歩く。
背の高い平さんは歩幅が広いはずなのに、歩く速さをさりげなくあたしに合わせてくれる。
そんな平さんは、やっぱり女慣れしていると思わざるを得なかった。
あたしは平さんを好きになりかけていたが、それは叶わぬ恋なのだ。
あたしはただの恩人。
平さんとは土曜日までの関係。
麻友と武雄の結婚式が終われば、他人に戻るような脆い関係だ。