シンデレラの魔法は解けない
だが、愚かな麻友は悪足掻きに出る。
平さんを見て口角を上げて、こう言った。
「本当に藍でいいんですか?
だって藍……あたしの旦那を取ろうとしていたんですよ?」
それを聞いて、あたしを取り巻く女子集団が絶句した。
そして、聞いてはいけないことを聞いてしまったかのように、顔を見合わせる。
そんな様子を見て得意げな麻友に、平さんは静かに告げた。
「俺は藍ちゃんが好きなんです」
平さんはあたしなんて好きなはずがないのに、あたしの鼓動の高鳴りが止まらない。
「あなたがどう解釈しようと、あなたの勝手です。
でも俺は、藍ちゃんがそんなことをする人だとは思えません」