シンデレラの魔法は解けない
「すみません!弁償します!!」
焦るあたしに、平さんは落ち着いてと言う。
「服なんかより、藍ちゃんが大切なんだよ?」
それが、有名スタイリストの言葉なのか。
だって、この服は平さんの商売道具でしょ?
焦るあたしを見て、平さんは優しく微笑んだ。
その笑顔に、またまた顔が熱くなるあたし。
だめだだめだ、どんどん平さんに惹かれていく。
今日で会えるのもお終いだと言うのに。
……お終い?
本当にお終いなんだ。
きゅんきゅん言っていた胸が、今度はきゅーっと痛んだ。
まるで、涙を流しているように。
こうも身体全体で恋をしたのはいつぶりだろう。
こんな感覚、久しぶりだ。