シンデレラの魔法は解けない




「ちょっと藍?

あんたなに赤くなってるの?」




林さんが面白そうに茶化す。




「あんた、別に初めてじゃないでしょ?」





初めてではない。

でも、平さんとそんな関係になったことはない。

だから、想像しただけでも倒れそうになるんだ。

抱きしめられただけで、心も体も痺れてしまった。

それ以上の関係だなんて、想像も出来ない。





「その男とやりたいなら、今すぐにでも連絡を取って引き止めておくべきだね」




林さんはそう吐き捨てた。





林さんの言葉に真っ赤になりつつも、平さんを引き止めなきゃいけないと思った。

ふられるのが怖くて、ただ別れを告げた。

だけど納得するためには、真正面からぶつかって、ふられなきゃいけないんだ。


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