日だまり堂へようこそ
そのことから少しして奇跡的に無事だったという、腕時計を貰った。その腕時計はまだ新しくて箱に包まれていた。
母はこれを
「これはあなたのだから大切になさい。」
そう言ってくれた。
だが雪斗はそう思うことは出来なかった。
これは元々父が姉に対して買ったものなんじゃないかと思ってしまう。
今となっては知る由もないことだが。

それから雪斗は母の実家の方で暮らすことになった。運の良いことに母の実家の方は赤の他人である雪斗を邪険にしたりすることはなかった。そしてその優しさが尚更雪斗の罪悪感を増幅させていった。


雪斗は深く溜め息をつく。

バカみたいだ。

そう思った。
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