染 光 ハナビ
「うげー。どんだけあるんだよ」
近くの公園に着いてスーパーの袋から線香花火を取り出すと、
染谷くんが物憂げな声をこぼした。
思いのほか量があって驚いたけれど、
勇気をチャージするぶんには丁度いいって、
思った。
「あ、ぴっか見て、結構きれいだ」
染谷くんの線香花火がじりじりと夏らしい音を立てて燃える。
染谷くんからこぼれ出た"綺麗"の単語がなんだか繊細に聞こえて、心臓がぶるりと震えた。
馬鹿だなって、思うよ。
「…うんっ。きれいだね」
染谷くんの隣にしゃがみ込む。
勿論、間隔はひと一人分。