私の髪(想い)をあなたに~ヘアドネーション~
今から思えばびっくりです。……ナチュラル志向の家、だったのでしょうか。……なんてね。

おばちゃんにアドバイスをいただいたものの、もちろんいかせるはずもなく。

しばらくすると、自分がなぜこの髪型にしたのかさえ、忘れていたかもしれません。



中学生の時、初めて『ストレートパーマ』をかけました。

お正月にいただいたお年玉が、その費用になりました。

当時のストレートパーマは、下敷きのようなプラスチックの板に髪の毛を張りつけて伸ばす、というものでした。

髪の毛に何枚もプラスチックの板をぶら下げると、それなりに重いし、異様な姿でした。

細かい事は覚えていませんが、中学生の私にしてみれば、かなりの時間とお金をかけてストレートパーマをかけました。

仕上がりを美容室の鏡で見た時は、初めて見る自分のうねうねしていない髪の毛に満足していました。

美容室には、自転車で行きました。

田んぼに囲まれて遮る物が何もない道を、海からの強い風を受けながら自宅に帰りました。

小雨も降っていましたが、強い風と闘いながら自転車を漕いでいたので、気にする余裕なんてありませんでした。

自宅に到着して、強風との闘いで疲れきっていた私を、さらに打ちのめすような事を母から言われました。

「あれ?ストレートパーマ、かけてきたんだよね?」

「っっ!!??」

慌てて鏡を見れば、うねうねくせっ毛のこれまでと何も変わっていない自分が写っていました。

「・・・」

自分の姿に呆然としました。私がかけたあの時間とお金は、何だったのだろう……?

まさに言葉を失った私は、板に髪の毛を張りつけるストレートパーマを、もう二度とかける事はありませんでした。

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