私の髪(想い)をあなたに~ヘアドネーション~
高校生の時は、すでに自分の髪の毛を諦めていました。

せめて私の手先が器用だったなら、くせっ毛をごまかすようなヘアアレンジができたのかもしれません。

でも、残念ながら私は不器用です。ちょっと気合いの入った(?)不器用です。

私が髪の毛を弄っても、微妙な感じの三つ編みが精いっぱいなのです。

だから高校生の時は、長く伸ばした髪の毛をゴムで括るか、襟足を少し刈り上げちゃうくらいのショートにしていました。

ショートにしていた時は、なぜかおばちゃん達に好評でした。

ショートだったら、自分のくせできれいに髪の毛が流れます。まるで、美容師さんが丁寧にブローしたようなスタイルになります。

「おねえちゃんの髪、パーマをあてたみたいな髪だな!いいね~!」

おばちゃん達にとって『大人になったらパーマをあてる』は鉄板のようでした。



私のうねうねくせっ毛にとって大きな出来事があったのは、二十代前半の頃でした。

『縮毛矯正』を知り、初めて自分の髪の毛に施しました。

肩より長かった私の髪の毛は、“ロング”という事で四万円かかりました。

中学生の時にストレートパーマをかけて以来、美容室でするのはシャンプーやカットぐらいです。

カラーもした事がなかったので、髪の毛に四万円もかけるというのは、清水の舞台から飛び降りるような覚悟が必要でした。

覚悟を決めて縮毛矯正をしているサロンに、予約をとりました。

たしか、三時間から四時間は縮毛矯正にかかったと思います。

スタイリストの方は、私より十才くらい年上の男性でした。「マスター」と呼びたくなるような、ちょいワルな雰囲気の方でした。

私、人見知りなんです。初めての場所と人に対しての緊張。初めての縮毛矯正への期待と不安……

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