悩ましきは猛進女の撃甘プロポーズ
いつも百合子と桔梗に言われるのだが、僕は、甘味を感じない……持たない男だそうだ。
だが、甘味は味わうものだ。
僕はいつも十二分に味わっている。
あの二人の言葉は間違っている。
おまけに竜崎まで……。
「スィートな遥香ちゃんを泣かしたら……」
ニッコリ笑うが……怖い!
「あの子はねっ、温室育ちのヒマワリなの。ゴミ男の穢れで汚したら……どんな手を使ってでも、貴方を潰す!」
この女はマフィアか何かか?
こいつの恐いところは、それが冗談に聞こえないところだ。
否、冗談にしないところだ。
「何をもって『汚す』と言っているのか分からないが、君に潰されるようなことはない」
断言できる。
「そう、なら……」と唇の端を少し上げたと思ったら、いきなり人差し指を僕の鼻先に突き付ける。
「って安心できる筈ないじゃない! この鈍感男! スウィーツも満足に味わえない男のくせに!」
男の……くせに、とまで言われてしまった――何故に?
――ああ、無情かな我が人生。