悩ましきは猛進女の撃甘プロポーズ
――で、何故そこで資料を握り潰す?
それは今日、会議で使う大切な資料ではなのか?
「覚悟なさい! 我が海外事業部女子には髪の毛一本も触れさせないから。私があの男の毒牙から彼女たちを守る!」
竜崎が宣言するなら、きっとそうなるだろう。こいつは有言実行する奴だ。
赤城も気の毒に……などという同情は全く無意味だった。
マッチョなチャラ男は、竜崎に「女の敵」と罵られながらもマイペースに女を口説き、速攻でフルを繰り返していたが……何故だろう、人気はうなぎ上りだ。
「悪い奴ほど良くモテる! をあの男は実戦で実証しているのよ」
竜崎もお手上げ、と盛大な溜息を付くほどだ。
この時、流石KOGOが認めた男、とようやく奴の実力を知る。
「矢崎課長、貴方もボヤボヤしていると大切な者を取られちゃうわよ」
何のことを言っているのだろう?
「――人って失くしてから気付くのよね。それがどれほど大切だったか。でも……気付く頃にはもう後の祭り……ということも同時に気付くのよね」