悩ましきは猛進女の撃甘プロポーズ

なかなか深い話だが、抽象的過ぎて……どうも分からん。

だが、ここで疑問を口にすれば、竜崎のことだ、きっと罵倒の嵐で僕をケチョンケチョンにするだろう。だから黙って話を素通りさせる。

「とにかく、遥香ちゃんを毒牙から守るのよ!」

突然、どうしてその名前が出てくるのだ?

「何をすっ呆けた顔をしているのよ! 掴んだ情報では、現在狙われているのは遥香ちゃん。赤城の奴、今までと違って、かなり熱心に口説いている、と報告が上がってきたわ」

こいつは特殊部隊にでも属しているのか?

「それって、何処情報?」
「――それは秘密。美女にシークレットは付きものでしょう」

会議室に足を踏み入れながら、人差し指を口元に置き、シーッのポーズを作る。
美人の基準は分からないが、女にしておくのが惜しいくらいカッコイイ奴だ。

「今は、遥香ちゃんも貴方に夢中だから、赤城を無視しているけど、矢崎課長が塩対応を続けるなら、この先どうなるか分からないわよ」

竜崎は丸めた資料でポンと僕の胸を叩き「せいぜいお気をつけあそばせ」と所定の席に向かう。

「……」

塩対応……とは、どういう対応だ?

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