悩ましきは猛進女の撃甘プロポーズ
「あれっ? 赤城課長」
君島が不思議そうに訊ねる。
「残業ですか?」
さもあらん。赤城の課である広報宣伝課は、現在、九時五時土日休日制を取っている。夜十一時近いこの時間まで居るということは残業しか考えられないが、それよりもっと考えられないのは、赤城が残業する、ということだ。
案の定、君島が言う。
「あれ、今日もコンパじゃなかったんですか?」
「君、失礼だね。そんな風に言うと、僕が毎日のように行っているみたいじゃないか」
みたい……じゃなく、行っているだろう! 毎日。
――と突っ込んだのは、やはり君島だ。
「エーッ、羨ましいぐらい毎日誘われていますよね、今度、僕も連れて行って下さいね」
考えなしの恐いもの知らず……これは本当だった、と悟る。
「君、シャーラップ! 男のおしゃべりはモテないぞ。神崎君、噂は噂だから、真実ではない」
目が泳いでいる。明らかに動揺している。
「あらっ、どうして言い訳なさるのですか?」
女がクスッと笑う。