悩ましきは猛進女の撃甘プロポーズ
「お分かり? ということで、私、社に関することで知らないことがないの」
本当に? という顔で赤城が君島を見る。
はい、と君島は満面の笑みで応える。
見る見る青くなる赤城。
「ですので、もう無駄な努力はお止め下さい。赤城課長の所業は耳に入っておりますので」
この勝負、神崎の勝ちだな。
「――君って……」
ん? どうした、赤城。女に負け、壊れたのか?
ボンヤリと神崎を見つめる目が……何故だろう、ハートになっているような気がする。
「君だ!」
何がだ?
「やっと見つけた!」
何を?
「君こそ僕が求めていた理想の女性だ!」
ここにきて、その台詞?
君島も同意見だったようだ。小さく「アンビリーバブル」と呟き、ムンクの叫び顔になる。
――赤城って……ある意味、物凄い奴なのかもしれない。
仕事戦士たるもの、状況に応じ、時に粘り強く、時に諦め早くなければいけない。
「本当はもう諦めていたんだ。理想の女性なんてこの世にいないって。だから、一族が言うように見合いをするつもりだったが……諦めなくてよかった」
一族? どんなお家柄だ?