悩ましきは猛進女の撃甘プロポーズ
――明らかに巻き込まれている。
「悪いが、仕事に戻りたいのだが……」
「いえ、ダメです! 先にお食事を済ませて下さい」
この女、こんな状況だというのに……態度が一貫している。
「――という訳で、赤城課長、早々にお立ち去り下さい。恭吾さんのお邪魔です」
ペコリとお辞儀をし、いそいそとお茶を淹れ始める。
「そうですね。その仕事は僕の課にも関係することですので、滞るのは勘弁です。今日はこの辺でお暇いたします……でも、次回は僕の食事も用意して下さいねっ」
赤城はウインクを一つし、じゃあ、とカッコよく指を振り、帰っていった。
あいつも懲りない奴だ。
「さあ、これで心置きなくお食事できますね」
神崎がニコリと笑う。
――何と言おうか……こいつは大した女だ。
食欲はすっかりなくなったが……。
君島に、仕事に戻れ、と合図をし、食事を始める。
そして、半分ほど食べ終えたところで、先程から考えていたことを口にする。
「明日から食堂で食べるから」
こんなことなら白鳥の忠告を素直に聞き、初めからそうすればよかった、と反省する。
神崎は「そうですか」と少し残念そうにしながらも、「では、スウィーツだけでも差し入れます」と懲りない。