悩ましきは猛進女の撃甘プロポーズ
あの女も風邪をひくのだな……と本人が聞いたら怒りそうなことを思い……だったら、赤城もあの女には会っていない? と思うと、フッと笑みが零れる。
あっ、でも、見舞いに行っている? と思ったら、黒い思いがムクムク湧き上がる。
「課長も顔色悪いですから、しっかり食べて、休む時は休んで下さいよ」
「ああ」と短く返事をし、「サーバー室に寄ってから戻る」と言い、君島と別れる。
その部屋はB1Fにある。
この階は他に資料室など、ヒト気のない部屋ばかりが並ぶ。
ここは落ち着く。
コツコツと静かな廊下に僕の足音だけ響く。
その音を聞きながら、ちょっと浮かんだ疑問を整理する。
――あの女が休んでいると聞き、僕は何故ホッとしたのだろう?
女を避けていたのは僕の方なのに……。
――あの女のスウィーツを恋しい、と思っていたのは本当だ。
ひと時、欲求を誘発する薬でも盛られていたのか? と疑ったほどだ。
――とにかく、あの女が姿を見せなかったのは、病欠だったからだ。
なるほど、他人の不幸は蜜の味というが……本当だ、と鬼畜にも思う。